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【上達する特別付録あり】5分でわかるスポーツスタッキング|初心者と経験者に役立つノウハウを“日本協会の中の人”が解説

読みもの  2020.8.12公開 2020.9.30更新

12個のカップさえあれば場所を問わずどこでもできる、スポーツスタッキング。日本での知名度はまだ低いかもしれませんが、実は、3歳の子どもから80歳代のお年寄りまで世代を問わずに楽しめる世界的なスポーツです。

アメチャ(Amazing MEIJIN Channel)でスポーツスタッキングを取り上げたのは、『第1回 MEIJIN-1 GP』。ヤーマンこと中村鈴菜(すずな)さんが「速ワザ!凄ワザ!スポーツスタッキング!MEIJIN」で見せてくれたテクニックとスピードに審査員一同、びっくり仰天。鈴菜さんが小学生だったこともあり、その一挙手一投足に目が釘づけになりました(見事「優秀賞」を獲得!)。

そんな鈴菜さんの父親であり、現在、一般社団法人WSSA-JAPAN(以下、WSSA-JAPAN)常任理事をつとめているのが、今回お話をうかがった中村聡志(さとし)さん。スポーツスタッキングは一体どんなスポーツ? 魅力は? 必要な用具は? 自身もプレイヤーとして楽しんでいる中村(聡志)さんに、スポーツスタッキングの基礎知識や、初心者と経験者、双方にとって役立つノウハウをうかがいました。

なお、今回は「スポーツスタッキングができる・上達する」特別付録として、WSSA-JAPANからご提供いただいたレクチャー用のパンフレットも紹介します。

※インタビューは、オンラインで実施しました。

お話をうかがった人(この読みものの監修者)|中村聡志(なかむら・さとし)さん

2015年4月から一般社団法人WSSA-JAPANの常任理事兼本部統括責任者をつとめ、日々、スポーツスタッキングの普及・推進に従事している“協会の中の人”。指導者育成やイベント大会運営なども行っているそうです(写真は、聡志さんと鈴菜さん)。

◎一般社団法人WSSA-JAPAN・公式サイト https://www.wssajapan.com/
◎一般社団法人WSSA-JAPAN・公式Twitter  https://twitter.com/WSSA_JAPAN

もくじ

スポーツスタッキングは全世代が楽しめる「12個のカップ」で時間を競うスポーツ

 ——まずはじめに、スポーツスタッキングがどんなスポーツなのか、大まかに教えてください。

中村さん スポーツスタッキングとは、12個のプラスチック製のカップを決められた形につみ上げたりくずしたりするスピード(時間)を競い合うスポーツです。日本では2005年ごろから普及しはじめました。ルーツは、アメリカの子どもたちが「紙コップをピラミッド型に重ねて遊んでいたこと」にあるといわれています。

2020年8月現在、世界54カ国に「スタッカー」と呼ばれるプレイヤーがおり、日本の競技人口は約1万人です。男女比は半々といったところでしょうか。日本での普及は、私が常任理事をつとめるWSSA-JAPANが推し(おし)進めています。地道な活動が実を結び、最近では学校や企業のイベント、地域のレクリエーションなど、さまざまな場面でスポーツスタッキングが取り入れられるようになりました。

 

「子ども、親、高齢者、3世代でできるスポーツ」がスポーツスタッキングのキャッチフレーズなのですが、「スペシャルスタッカー」と呼ばれるハンディキャップを持ったスタッカー(スポーツスタッキングをプレーする人の呼称)もいます。そういった方々も含め、年齢や性別を問わず、全世代のあらゆる人が一つの土俵で平等に競い合えるスポーツは、そうありません。

スポーツスタッキングのやり方①――「3つの用具」を用意しよう

——スポーツスタッキングの存在を認知し「やりたい」と思っていても、何から準備したらいいのかわからない人もいるようです。スポーツスタッキングに必要な12個のカップはどこに売っているのでしょうか?

中村さん “あそび”として楽しむのであれば家にあるカップで十分です。しかし、最初は“あそび”でも、回を重ねるにつれて時間を測りたくなってきて“競技”に移る方が多いんですよね。気づいたら、公式大会の出場をめざし、“競技”として結果を求めたくなっているという。そうなってくると、プラスチックでできた直径76.5mm・高さ95mmのWSSA※1公認の公式カップを購入する必要があります。

公式カップはWSSA-JAPANのサイトから購入できます。金額は、一番スタンダードな「スピードスタックス(SPEED STACKS)」と呼ばれるものが約3,000円、空気の抵抗が少ないスピードを追求した「プロシリーズカップ」が約5,000円です。

スポーツスタッキングは0.001秒を競うスポーツなので、結果を残している選手や日本代表の選手はみんな「プロシリーズカップ」を使っていますが、このカップにはたくさんの種類があります。理由は、世界記録が出るとそのたびに世界記録を出した人の記念カップが販売されるからです。

例えば、マレーシアの選手が世界記録を出したらマレーシアのスポーツスタッキング協会が記念カップをつくり、韓国の選手が世界記録を出したら韓国の……といった具合です。完成した記念カップは、WSSA-JAPANが日本国内で流通させ、販売するといった流れになりますね。

※1:World Sport Stacking Association(ワールド・スポーツスタッキング・アソシエーション)。スポーツスタッキングを世界に広める活動をしている「世界スポーツスタッキング協会」のこと。

——「スピードスタックス」や「プロシリーズカップ」にはどんな特徴がありますか? また、カップ以外に必要なものがあれば、教えてほしいです。

中村さん やわらかい・固い、すべりやすい・すべりにくいというように、それぞれ触り心地が異なりますね。ものすごく大きな差はないんですが、触り心地が自分に合う・合わないはスピードに影響を与えます。好成績を残しているスタッカーは10セット以上カップを持っていると思いますよ。

カップを他のものに例えるなら……同じ手のひらサイズのミニ四駆(ミニよんく)でしょうか。ミニ四駆は「早いスピードを出して走る」ことが醍醐味の1つですが、車種は1つではありません。軽いものもあれば重いものもあり、使い分けますよね。

競技としてスポーツスタッキングを追求する場合、カップのほかに必要な用具があと2つあります。1つは手を置いて離すとスタートする専用タイマー「プロタイマー」、もう1つは「スタックマット」(プロマット)と呼ばれる専用マットです(↑の写真)。

スピードを意識しはじめると、カップがすべらず良い記録が出やすい「スタックマット」を購入するケースが多いです。たまに、「クリスマスプレゼントに『スタックマット』と『プロタイマー』が欲しい」と言うお子さんもいて(笑)。金額は2つ合わせて1万円ほどなので、先ほどのカップの金額と合わせて約1.3~1.5万円あれば、競技にチャレンジできる環境が整います。

ちなみに、WSSA 傘下の大会はルール上、WSSA公認のカップさえあれば大会に出場できます。ただ、基本、出場スタッカーは「プロタイマー」と「スタックマット」を持参していますね。

——スポーツスタッキングを「カップスタック」と呼んでいる人もいるようですが、これは……?

中村さん そもそも、スポーツスタッキングのことを「カップスタック」とはいいません。補足すると、「スピードスタックス」はカップの名称であり、販売会社の社名ですね。

編集部・注)後日調べたところ、スピードスタッキングで使うカップとほぼ同じ形の「KUPSTAX(カップスタックス)」と印字されている商品の存在が判明。WSSA公認のアイテムではないものの、大手通販サイトでも販売されているため、「カップ“スタック”」の言葉が一人歩きしてスポーツスタッキングと混同するようになったのでは?と推測します。ただ、後で紹介するアメリカ・テキサス工科大学のスポーツスタッキングの実験結果資料内に「Cup Stacking」の文字があることから、もしかするとアメリカではなじみのある呼称なのかもしれません。

スポーツスタッキングのやり方②――主な種目は「3-3-3」、「3-6-3」、「サイクル」の3つ

——スポーツスタッキングには、いくつかの種目があると聞きました。

中村さん 主な種目は「3-3-3」、「3-6-3」、「サイクル」の3つで、むずかしさは「3-3-3」<「3-6-3」<「サイクル」の順です。また、複数のスタッカーで行う「ダブルス」、「リレー」といった種目もあります。それぞれルールがかなり細かく定められているので、WSSA-JAPANのWebサイトで確認してみてください。

——拝見しましたが、確かに相当細かく定められていますね。覚えるだけでも大変そうです……。ルールに関連しますが、スポーツスタッキングをするときの服装は決まっていますか?

中村さん 服装の指定は、ありません。きょくたんな話、スーツでも私服でもOKです(笑)。ただ、注意しなければならない点はあります。

世界記録を日本で更新したとき、プレーをビデオに撮ってWSSAに送って申請をするのですが、このとき、WSSAのスタッフが一連の動作を厳しい目で細かくチェックし、新記録として認めるか・認めないかの判断をします。ここでスタッカーの顔が映っていないと、「日本で記録を認めていても、WSSAの判断としてはNG」になることがあるんですね。したがって、服装は自由でも映像内で顔を必ず出す必要はあります。

【WSSA-JAPANの動画で解説】3-3-3

【WSSA-JAPANの動画で解説】3-6-3

【WSSA-JAPANの動画で解説】サイクル

【特別付録】スポーツスタッキングのやり方とポイントを解説した練習にも役立つWSSA-JAPAN公認パンフレット

「3-3-3」、「3-6-3」、「サイクル」をわかりやすく解説しているレクチャー用のパンフレット(画像)をWSSA-JAPANさんからご提供いただきました! 左手・右手でどのような動作をすればよいのかステップ式に解説されている、とてもわかりやすい資料です。前述の動画と併用して、スポーツスタッキングの習得・上達に役立ててください。

強豪国トップ3のうち、2つはアジアの国

——『第1回 MEIJIN-1 GP』での鈴菜さんのワザには、度肝を抜かれました。スタッカーは若い方が多いんですか?

中村さん いいえ、そんなことはありません。スポーツスタッキングは何歳からでもはじめられます。過去、大会に出場した最年少は3歳でした。最年長は80代の方です。80代の方は、正直、トップスタッカークラスのスピードを出せるわけではありませんが、問題なくプレーしています。といっても、世代別で強いのは世界を見ても圧倒的に10代ですね。

——80代のスタッカーの方がいるとは……驚きです。本当に幅広い世代が楽しんでいるんですね。

中村さん 最近は、高齢者の方々が認知予防のためにスポーツスタッキングのサークルをつくるケースが増えています。高齢者スタッカーの方たちの中には小学校で指導をする人もいて、普及にも一役買ってくれていますよ。

実際、私の娘(鈴菜さん)は最初「3-3-3」しかできなかったんですが、会場で高齢者スタッカーの方に「サイクル」を教えてもらい、習得しました。スポーツスタッキングを通じて子どもたちと高齢者の接点ができることは、“つながり”をつくる意味でも貴重な成果だと感じています。

——どのスポーツにも強豪国と呼ばれる国がありますが、スポーツスタッキングの場合、強い国はどこですか? また、日本の競技レベルはどのくらいですか?

中村さん スポーツスタッキング発祥の地・アメリカ、学校の教育の一環としてスポーツスタッキングを取り入れている韓国とマレーシア。この3つの国はいつも上位に食い込んでいて、合宿を張って世界大会にのぞむほどの力の入れ様(よう)です。次に、シンガポール、オーストラリアあたりでしょうか。

国別ランクはありませんが、日本は分母を仮に10だとすると、6~7番目くらいの実力だと思います。とはいえ、大会に出場すれば何かしらのメダルを獲得していますから、決して実力がない国ではありません。

【参考】スポーツスタッキングの世界記録と日本記録

2020年9月22日現在の世界記録は、3-3-3(個人)は男性が韓国・Hyeon Jong Choiさんの1.322秒、女性が同じく韓国のSi Eun Kimさんの1.424秒、3-6-3(個人)は男性がマレーシア・Chan Keng Ianさんの1.658秒、女性が3-3-3の記録保持者・Si Eun Kimさんの1.770秒、サイクル(個人)は男性が3-6-3の記録保持者・Chan Keng Ianさんの4.753秒、女性がまたまた韓国のSi Eun Kimさんの5.042秒です。やはり、韓国とマレーシアは強い!ですね。

※画像クリックでWSSAのWebサイトへ移動。

一方、日本記録は、3-3-3(個人)の男性がYuhki Linさんの1.720秒、女性がSara Wavdeさんの1.776秒、3-6-3(個人)の男性がKeishin Moriさんの2.223秒、女性がSara Wavdeさんの2.194秒、サイクル(個人)の男性がSota Takamoriさんの6.374秒、女性がSara Wavdeさんの6.371秒です。Sara Wavdeさんは何と女性3冠! サイクル(ダブルス)は、Tsuyoshi SeoさんとSara Wavdeさんのコンビが7.893秒を記録しています。

※画像クリックでWSSAのWebサイトへ移動。

アメチャで、あの中尾明慶さんがスポーツスタッキングの世界記録にチャレンジ!

2019年9月22日時点でYoutubeのチャンネル登録者数18.1万人Instagramのフォロワー数は約120万人を誇る中尾明慶さんもスポーツスタッキングに挑戦! 世界記録を目指した結果はいかに……?

世界では年に1回、日本では年に2回、スポーツスタッキングの公式大会が開催

——スポーツスタッキングの公式大会は、いつ、どこで、どのくらいの頻度で開催されていますか?

中村さん 日本では年に2回、大きな規模の公式大会があります。1つは海外の選手も参加できる※2「ジャパンオープン大会」(7月)、もう1つは日本人のみがエントリーできる「ジャパンカップ大会」(1月)で、それぞれ100人前後がエントリーします。非公式の大会としてはクリスマス大会やハロウィン大会などといった小規模なものもありますが、公式ではないため、記録としては認められません。

世界基準では、「ワールドカップ」が年に1回・4月に開催されます。サッカーのワールドカップのような地域予選はなく、WSSAに加盟している54カ国すべての国が参加できる決まりです。秋にはアジア各国+アジア以外の国も参加できる※2「アジア大会」があります。

※2:「ジャパンオープン大会」、「アジア大会」ともに、もし海外の選手が優勝しても正式な記録としてはカウントされない(日本、アジア各国の記録を優先)。

7月5日(日)に開催した「ジャパンオープン大会」は、新型コロナウイルス感染症の感染防止を考え、参加者20人・付き添い20人・スタッフ15人程度で行いました。通常が参加者100人・付き添い200人・スタッフ25人程度ですし、今まで経験したことがない環境だったので、当日の運営はとても大変でしたね……。検温、消毒、フェイスシールドの着用を徹底するとても厳しい危機管理体制を敷き、人と人が接近する「ダブルス」などの種目は開催しませんでした。

——他競技のように、優勝したら賞金の贈呈はありますか?

中村さん いえ、優勝賞金はありません(笑)。ただ、カテゴリーがジュニア(アンダー6~アンダー19)とマスターごとにかなり細かく分かれており、カテゴリーごとに各種目(「3-3-3」、「3-6-3」、「サイクル」)があります。総合1位にはトロフィー、1~5位までにメダルが授与されるため、もし1人で全種目優勝したら、3つの金メダルとトロフィーが手に入る計算です。ここに、「ダブルス」、「リレー」の種目も加わってその2つでも勝ち続ければ、首にたくさんのメダルをぶら下げられます。

アンダー6のカテゴリーはエントリー人数が3~4人しかいない場合もあるので、金メダルを獲得できる大きなチャンスがころがっている状況です。賞金はもらえなくても、たくさんの栄誉がもらえますよ。

スポーツスタッキングが学べる2つの教室と、“SEOPPI”こと瀬尾剛さんのスポーツスタッキング教室

——スポーツスタッキングがどういうスポーツなのか、理解できました。ただ、カップもそろえて種目も把握して「さあやろう!」と意気込んだところで、誰から学べばよいのかわかりません……。

中村さん スポーツスタッキングが学べる教室は、大きく分けて2つあります。1つはスポーツクラブです。日本全国すべてのスポーツクラブに当てはまるわけではありませんが、施設内でスポーツスタッキングをしているところもあります。ただ、スポーツスタッキングを丸々1時間やるといった話ではなく、例えば1時間の体操のうち、最初の10~15分、スポーツスタッキングをやって集中力を高める……といった具合です。

もう1つは、WSSA-JAPANで開催している練習会&チャレンジ認定会※3です。月1回のペースで開催していましたが、現在は新型コロナウイルス感染症の件もあり、再開のめどは立っていません。ただ、9月あたりにオンラインで開催する構想はあります。

他に、スポーツスタッキングの第一人者で日本代表のコーチもつとめ、大道芸もやっている瀬尾剛(SEOPPI)さんが、綱島(神奈川県横浜市)でスポーツスタッキング教室を開いています。あとは、WSSA-JAPANの支部がある名古屋・福岡・札幌の各スポーツクラブで教えていますね。

初心者は、まずカップでお手玉をしたり簡単に積み重ねたりといったことからはじめてみてください。小さいお子さんの場合、いきなり“競技”は難しいので、まず“あそび”から入るとよいでしょう。最近は、YouTubeのスポーツスタッキングの映像を見て学んでいるお子さんも多いようです。

※3:スタッカーの実力を測る認定会。例えば、10級なら「3-3-3」は〇秒以内、「3-6-3」は〇秒以内、「サイクル」は〇秒以内というように、クリアすべきタイムが設定されており、それらを全部クリアしたら級が与えられる仕組み。WSSA-JAPANのページ(タイム検定)を参照。

“ヤーマン”こと鈴奈さんがスゴ技を身につけた秘訣は、パパとの真剣勝負?

——アメチャで鈴菜さんの動画を見ていると、すさまじいスピード&テクニックに驚かされます。一体、どのように習得したのですか? 中村さんのスパルタ教育……?(笑)

中村さん いやいや(笑)。私がWSSA-JAPANの常任理事なので、スポーツスタッキング関連のイベントにはすべて鈴菜を連れて行くんですね。そうすると、現場でおじいちゃんスタッカーが教えてくれるんです。鈴菜の習得スピードが加速したのはスポーツスタッキングの日本代表と接点を持つようになってからで、競技中の音を聞いたりアドバイスしてもらったりして一気にぐんっと伸びました。スピードの早い人はリズム感が違うので、音と音との間隔が短いというかテンポが良いんですよね。実際に見て音を聞くと、わかるかもしれません。

あとは私自身、現役のスタッカーで娘と定期的にタイムを競っているんですが、この勝負の積み重ねで伸びていったような気もします。成長スピードは娘の方が早いですね。ゴールデンエイジです(笑)。

実験で明らかになったスポーツスタッキングで期待される効果と、国と世代を超えた“つながり”

——スポーツスタッキングをすることの効果には、どのようなものがあるのでしょうか? その根拠とともに教えていただけると、助かります。

中村さん アメリカのテキサス工科大学で行われた実験で、「両手を使うスポーツスタッキングには、左脳と右脳を活性化させる効果が見込めること」が実証されました(後述「【参考(1)】スポーツスタッキング時における脳の活性化パターンの実験」で解説)。両手を素早く動かすスポーツスタッキングの一連の動作が脳にバランスの良い刺激を与えている可能性を示しています。高齢者の方は、認知症の予防も期待できるでしょう。

「人前で何かをする力」も、すごい身につくと思いますね。本番が3回しかないスポーツスタッキングは、緊張で押しつぶされることも珍しくありません。2回失敗したら、残されたチャンスは1回しかないわけです。そこで追いつめられるスタッカーもいます。そんなとき、どうやったら成果を残せるのか。スポーツスタッキングはメンタルが鍛えられ本番に強い力が養えるスポーツなのかもしれません。

メンタルでいうと、WSSA-JAPANでは「子どものメンタル面における教育的効果」を提唱していて、スポーツスタッキングをすることで「あたま」、「こころ」、「からだ」の成長に効果があると考えています(後述「【参考(2)】WSSA-JAPANが提唱する子どものメンタル面における教育的効果」で解説)。

メンタル以外の部分に目を向けると、スポーツスタッキングをやっていなかったら出会えなかった人たちと出会える——世代を超えて世界・日本のいろんな人と交流ができ“つながり”ができるのは、人生の財産になると思っています。世界大会に行くと本当にいろんな人に英語で話しかけられたり、ユニフォーム交換があったり、プレゼント交換があったりと、日本にはない“違う世界”が見えてくるんですよ。

【参考(1)】スポーツスタッキング時における脳の活性化パターンの実験

実験方法

▼実験参加者:体育系学生18名(全員右利き)
▼実験種目:サイクル
▼実験手順:以下の3つのセッションを実施
◎セッション.1「説明と練習(30分)」 サイクルの説明とデモンストレーションに続き、繰り返し練習を実施。

◎セッション.2「練習(30分)」 課題を復習するためにビデオを視聴し、残りの時間は練習。

◎セッション.3「実験(60分)」 全員、脳波電脳検出装置をかぶせられ、開始位置に手を置いてカップを見ながら30秒間起立したまま、計測。この後、以下の4種類の議題をそれぞれ5回ずつ実験し、計測。

①両手を使ってサイクル
②左手だけ使ってサイクル
③右手だけ使ってサイクル
④ミニスタックス(ミニサイズのカップ)を用いて両手でサイクル

上記資料の引用元

Brain Activation Patterns During Participation in Cup Stacking
Melanie A. Hart and Walter R. Bixby
Department of Health, Exercise and Sport Sciences
Texas Tech University

引用元URL

https://www.speedstacks.com/instructors/resources/benefits/right-left-brain-activation.pdf

【参考(2)】子どものメンタル面における教育的効果

集中力と反射神経(あたまの成長)

両手を使って素早くかつていねいに重ねないとカップがすぐ倒れてしまうので、スポーツスタッキングに取り組むと、集中力と反射神経が鍛練(たんれん)できます。さらに、両手を使うことで脳が刺激され、判断力・記憶力を鍛えることにもつながります。

競争心と向上心(こころの成長)

結果が数字で表れるので、「人より速く、前より速く」の意識が生まれます。また、体格・年齢・性別にかかわらず自分にちょうど良い目標を立てられることで、積極性や向上心、あきらめないこころが養えます。

協調性や主体性(からだの成長)

個人種目だけでなく、団体でのリレー種目やペアでのダブルス種目もあるため、チームの中で協力したりリーダーシップを発揮したりする力をはぐくめます。くわえて、レクリエーションあそびなどを通して楽しくからだを動かすことで、体力が向上します。

【参考(3)】スポーツスタッキングは子どもの神経系の発育に最適

5~8歳くらいは、神経系がとても発達する「プレ・ゴールデンエイジ」といわれており、神経系が成人の約90%にまで成長します。そのため、この時期に感覚や神経の調整力——すなわち、協応性(複数の器官や機能が互いにかみ合ってはたらくこと)、平衡性(バランス能力)、敏しょう性(動作のすばやさ。アジリティ)、巧緻性(こうちせい/指先の器用さ)などを身につけることが重要になります。

そして、「ゴールデンエイジ」といわれる9~12歳くらいには、神経系がほぼ100%まで完成します。この時期は動作の習得に適しており、難易度の高い動作もすぐに覚えられます。「ゴールデンエイジ」に多くの動作を習得するには、「プレ・ゴールデンエイジ」の段階でさまざまな運動を経験していることが重要です。

以上を踏まえると、左右の手を使い、指先の感覚器から脳へ刺激を与えて器用な身のこなしを習得するスポーツスタッキングは幼児期の神経系の発育に最適といえるでしょう。

編集部・注)上記の【参考(1)~(3)】は、WSSA-JAPAN提供の資料を参照・引用しています。

アメチャとWSSA-JAPANが夢のコラボ! 『第1回 Japan Online』を開催

中村さんのオンラインインタビューをした日から18日たった8月23日(日)、日本では初開催となるスポーツスタッキングのオンライン大会『第1回 Japan Online』をアメチャ×WSSA-JAPANで共催。経験が浅い人から長い人まで、さまざまなキャリアのスタッカーが多数参加し、とても盛り上がりました。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

「スポーツスタッキングを知らない人はまずは“あそび”でもいいので、12個のカップに触れてもらいたい。そして、“競技”として取り組んでいる日本のスタッカーには、どんどん世界に進出してもらいたいですね」。最後にそう語ってくれた、中村さん。アメチャは、これからもスポーツスタッキングの魅力をたくさんの人に届けていきます。日本から世界に羽ばたくスタッカーが誕生することを夢見て——。

この読みものを書いた人

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